写真:石庭と水芭蕉と桜の絨毯 どれもいい感じでマッチしていませんか。写真をクリックしてじっくりながめてください。
今朝のNHKニュースを見て驚きました。AIが脚本を書いた映画が注目を集めている・・・と。通常の私たちには思いもつかないような発想で脚本を作るのだと。このニュースを見ながら、お寺の役割の大部分もAIに取って代わられる時代が来るのではないかと心配になりました。佛法僧の仏と法は残るでしょうが、僧の役目の大部分はAIが賄うのではないかと。お経をよんで、葬式をするだけの僧侶は用なしになるのかもしれません。
僧侶の本質的なことに立ち返らないといけないなと強く感じました。
修証義に曰く「深く佛法僧の三宝を敬い奉るべし。・・・佛は是れ大師なるが故に帰依す。法は良薬なるが故に帰依す。僧は勝友なるが故に帰依す。」
僧は勝友なのです。少なくともお檀家さんや信徒さんにとって私は勝友であるのか、今一度問い直しをしなければなりません。AIが勝友であると言われないためにも。
相撲を見ていて、若い頃は、力士が何回も仕切りをしているのが不思議で、さっさと立てばいいのにと思っていました。仕切りを重ねていくうちに力士に力が入ってきて見ている側の期待と興奮が加速されていく、その面白さがわからなかったんですね。年をとったせいかようやく相撲の奥深さが感じ取れるようになってきました。徐々に深まっていく様子に魅力を感じ取れるようになってきました。静から動へと移るまでの過程を楽しめるようになってきたというか・・・。
桜が咲きました。このところの暑さで一気に満開です。今朝は数輪だったのが夕方には満開です。今年の桜は、開花の過程をゆっくりと楽しむ時間を与えてくれませんでした。咲き始めから2分咲き3分咲き、そして5分、6分と進み、もうそろそろかなとか雨が降らなければいいがなとか期待や心配をしながら満開を待つ喜びが味わえませんでした。
満開の桜は綺麗ですし見事ですが、ちょっと残念な気持ちでもあります。
写真:3月22日撮影の当寺のロウバイ。2月から咲き始めました。そろそろ葉が出てくるかな。(雪はもう消えました)
3月17日の新潟日報に心に残る投書がありました。三条市のYさんという96歳のご婦人の投書です。
『(前略)わが家のロウバイが黄色のつぼみをたくさんつけてポツポツ咲き始めた。(中略)このロウバイはどうしてこんなに強いのだろうか。2月の連日連夜、肌を刺すような寒さや寒風にもしっかり耐えて今、美しい花を咲かせようとしている。私はこのロウバイを眺めながら自分の来し方行く末を思っている。長い人生で語りつくせない困難や苦しみを多く経験して生きてきたが、そのたびに母親に励ましてもらったり、友人や仲間たちから背中を押してもらったりして何とか切り抜けて生きてきた。人生山あり谷ありで平穏な日々ばかりではないが、我慢をすれば必ず花が咲く春が巡って来る。今が一番幸せなのかなーとしみじみ考えながら暮らしている。』
96歳のご老人が「今が一番幸せ」と申される。素晴らしいことですね。私も年を重ねていくほどこんな風に思える自分であったらいいなと思いました。96歳にならなくとも、今この時に「今が一番幸せ」と思える毎日を重ねていくことができればいいなあと思いました。
命を輝かすとはこういうことなのかなあと感じ入りましたので、春彼岸会の法要の法話でこの投書を紹介させていただきました。