和尚のミニ法話

2014/11/01

門送の礼

宗門の機関紙というか広報誌である「曹洞宗報」8月号の巻頭言を紹介します。「門送の礼」という題名で、前永平寺布教部長であられた遠藤長悦老師の随想です。

『・・・(前略)・・・ 当時、町寺の小僧として働きながら学んでいた私は、盛岡市龍谷寺の和尚さまのお伴をしての外出でした。・・・暫くしていとまを告げ、三々五々帰途を辿ります。私は法衣を包んだ風呂敷を背負って、師・馨文和尚さまのうしろに従いました。ふと、名残惜しくなってお寺の方を振り返りました。すると!山門に方丈老師の姿がありました。かなりの距離が隔たっているのに、こちらへ合掌し、且つ袖を振ってまでも見送っておられたのです。「長悦や、これを門送の礼と言うのだよ」。馨文和尚さまが教えてくださいました。少年時に見聞した、この大切な思い出を忘れることはありません。
古来、禅家では門送の儀を重んじます。来客を丁寧に迎え、要件を果たせば展待し、辞去の時刻には、長老尊僧を送る法があります。大衆雲衲が山門の両側に分立し、賓客が通る際には合掌問訊して敬礼するのです。 ・・・・(後略)・・・・』

私も家内も、お客様がお帰りになる際には、駐車場まで出向いて、お客様の車が出るまで見送るように心がけています。婿さんである上座さんも同じようにしてくれています。これからもそうし続けたいと思っています。

檀家さんのお宅に出向いた際に、門送の礼を受けることもたびたびあります。特にあるお宅の奥様は、玄関から私と一緒に出て、車のところまで行き、私が車を出した後もずっと見送ってくださいます。車のルームミラーに道路に立っていつまでも見送ってくださる姿が映っています。恐縮するやらありがたいやら。

写真は、先日の両祖忌での一コマ。両班が開いて一列に並び、これから大衆九拝をするのです。(本文とは関係ありませんでしたね。)