黒スリとは黒いスリッパのことです。(なーんだ、ひねりもなにもなしですか。)永平寺をはじめとした修行道場では、雲水はこのスリッパを履いています。先日永平寺に団参に行った折り、智玄さんに頼んで知庫寮から拝請してもらいました。(買って届けてもらったということです。)
普段あまりにも俗世にまみれていますので、足元だけでも雲水気分に浸ろうという魂胆です。これを履いていると自分の修行時代を思い出します。古参和尚が黒スリで別の雲水を叩くのを見たことがあります。裸足なのでひび割れができて血で染まったことがありました。などなど。
白スリというのもあります。足の甲にかかる皮帯が白いのです。これは新到和尚がはきます。ですので一目で新到であるということがわかります。智玄さんは今は白スリです。上山したての頃は黒スリとすれちがうときはビビったそうです。
この程度の区別はそんなに深刻ではありませんが。勤務した中学校であまりにもくだらない区別がありました。1年生は白い靴下しかはけないとか、ジャージのファスナーを全開にしてはならないとか。今はさすがになくなっているでしょうね。
今年の管長猊下の告諭の骨子は「同事」です。みんなおんなじ。区別しない。差別しない。ということです。「海の水を辞せざるは同時なり。」海は信濃川の水は受け入れるが阿賀野川の水はいやだ、なんて言わないのです。それが海の徳なのです。