和尚のミニ法話

2016/07/06

海も偉いが水も偉い。 同事2

前回の記事中「海の水を辞せざるは同事なり。」について、言葉としてよく理解できないという声がありました。かつての私もそうだったのですが、「海の水を」と「辞せざるは・・・」と区切って解釈するからわからないのです。「海の」と「水を辞せざるは・・・」と区切ればおわかりでしょう。「海の」の「の」は「が」の意味ですからね。
さて、この一文は道元禅師の正法眼蔵第28巻「菩提薩?四摂法」の一節なのですが、「海の水を辞せざるは同事なり。」に続けて道元様はこう言われています。「さらにしるべし、水の海を辞せざる徳も具足せるなり。」と。水もそそぐ先のどの海がいいとか区別しないので徳を備え持っているのだということです。どうせ海に注ぐなら太平洋がいいとか日本海がいいとか言わないのです。
水も海も、自然界そのままの姿でいる限り、徳の大きさを私たちに示してくれています。私たち人間もその在り様のままの状態であれば仏そのものであると道元禅師はお示しです。そのままの在り様でないから心が乱れたり煩悩にさいなまれたりするのです。
同事とは一つになること、区別しないこと。心がけておきたいものですね。