和尚のミニ法話

2024/01/09

左右揺身(さゆうようしん)

坐禅の開始時と終了時には「左右揺身」と言いまして、体を揺らす動作をします。開始時には左右に大きく上身を数回揺らし、次第に揺れ幅を狭めて中心でピタッと止めます。身体をリラックスさせると同時に身体の中心線を決める動作です。「体をまっすぐにすれば心もまっすぐになり、行いも、言うこともまっすぐになる」これは故宮崎奕保禅師の言葉です。そのまっすぐにするための第一歩が左右揺身です。
坐禅の終わりの左右揺身は開始時とは逆で、まっすぐの体を少しずつ左右に揺らし、次第に大きく揺らして体のコリや緊張感をほどきます。仏の身から俗世の身に帰る動作と言えるかも知れません。
元旦の大地震の時、私は茶の間で客人と一杯始めたところでした。部屋中がガタガタ揺れ始めたとき、写真の花器が揺れ始めました。この花器は写真のように根元が細くなっていて安定感に欠けるので、少しの揺れで倒れること必至です。私は倒れて水浸しになり花が散乱することを覚悟しました。しかし、少しずつ揺れながら揺れ幅が大きくなり、右に左にとまるで曲芸師のようです。地震の揺れが収まるにつれて花器の揺れ幅も小さくなり、最後はピタッと止まりました。まるで花器が左右揺身しているようでした。(この様子を見ていた私は大地震の最中一体何をしていたんだとは思いますが・・・)
びっくりした出来事でした。