和尚のミニ法話

2014/01/05

自未得度先度佗(じみとくどせんどた)

明けましておめでとうございます。拙ブログにアクセスいただきありがとうございます。更新はゆっくりですが、今年もどうぞお付き合いください。

「菩提心を発こす(おこす)というは、己れ未だ度(わた)らざる前(さき)に一切衆生を度(わた)さんと発願し営むなり」。これは、修証義第四章冒頭です。意味は、「仏の悟りを求める心を起こすということは、自分が救われる前に、すべての人々を救おうという願いの心を起こして行動をすること」です。これを簡単に言えば、「自分は後、他人様が先」ということです。これを、自未得度先度佗の心と言います。

年末の23日のことです。HさんとNさんから立派な門松をこしらえていただきました。お二人とも地域のために活躍しておられる方で、毎年、「親子門松づくり活動」を主宰しておられます。そのおこぼれを頂戴して当寺にも作っていただきました。竹の切り口が見事ですよね。
30日に本寺(雲居寺)様に行ったとき、Nさんが本堂前で門松を設置しておいででした。Nさんは雲居寺様の檀家です。Nさんは、「いや?、多くの方に頼まれてそちらを先に作っていたら菩提寺様のが今頃になってしまいました。申し訳なくてね。もっとも我が家のはまだ作ってなくて、明日の大晦日ぎりぎりになりそうですて。うちのは余った材料でこしらえますよ。」とおっしゃいました。
私はNさんのこの言葉を聞いて感銘を受けました。まさしく、自未得度先度佗の心、自分は後回しで他人様が先、を実践しておられる方だと思いました。

菩薩行そのものです。

門松のおかげでしょうか、よい正月を迎えております。皆様にとりましても、よい一年でありますように。