和尚のミニ法話

2018/12/19

生きつくす

「・・・つくす」というとどんな言葉を思い浮かべますか。
「食べ尽くす」。テーブルのものをきれいさっぱり全部食べてしまうさまです。出された料理を全部平らげてくれると作った方は嬉しいものです。
「語りつくす」。いろんな思い出話を余すところなく話切るさまです。友人と夜を徹しての話は友情をさらに深くしてくれます。
全部、残さず、きれいさっぱり、余すところなく・・・ そんな感じです。

先日、98歳のご老婦人の葬儀に参りました。
喪主さんのお話では、このおばあさんはずっと元気で過ごされておられましたが、一週間ほど前から食事ができなくなり、口からものが入らなくなりました。しかし苦しむこともなく、痛がる様子でもなく、すー、すーと静かに呼吸されていましたが、その呼吸もだんだん弱くなり、やがてロウソクの灯が消える如くすーっと息が無くなりました。
老衰ということですが、これこそ大往生でした。息子さんである喪主さんは安心して見届けることができたとおっしゃっていました。

まさに「生きつくした」終いだったようです。
お釈迦様からお借りしたこの命を、98年間にわたってまさに生きつくされました。お釈迦さまもご満足であろうと思います。

「生きつくす」ことはなかなかできるものではありません。病気や事故、災害、等で「生きつくす」ことができずに亡くなる方がほとんどのご時世です。自分だけがそう願っても叶えられないことが多いようです。
「生きつくす」のに支えとなってくれたご家族、施設の方々等々のご苦労も忘れてはなりません。

私は、自分の人生を「生きつくす」ことができるかわかりませんが、せめて今日一日の命を生きつくしたいと思います。

 

≪ 彼岸花  |