和尚のミニ法話

2016/01/06

相承 ~たすきをつなぐ~

新年あけましておめでとうございます。皆様にとりましてよき一年となりますよう祈念しております。
大本山總持寺二祖峨山禅師650回大遠忌が昨年10月に無事円成しました。ご遠忌のテーマは「相承(そうじょう)」。正しく受けつないでいくということです。
正月のスポーツイベントである箱根駅伝は、この「正しくうけつなぐ」ということの重さと大切さを深く心に刻んでくれます。私は年始回りの途中、カーナビのTVでところどころ見ていました。神奈川大が4秒足りずにたすきが途切れてしまった場面をちょうど見ました。10区の選手が待ち構える15メートル手前で繰り上げスタートとなってしまいました。たすきを渡す方も受け取る方も互いに相手の姿は見えていました。なのに渡すことができなかったのです。なんという残酷な現実。9区の選手は号泣していました。泣き声はマイクを通してTVから聞こえてきました。思わず私ももらい泣きしてしまいました。(泣くな若者!次はきっとつなげるから。)
仕事や家庭に後継者がいないことが大きな問題となっている昨今です。伝統文化の引継ぎもままならないという話もよく聞きます。それなのに、後継者がいてもつなげない現実は非情です。
宝鏡三昧という経典の結びに「只能く相続するを主中の主と名づく」とあります。まさしくその通りだなと感じ入った今年の箱根駅伝でした。